賃貸管理

2020年4月施行の民法改正のポイントとトラブル回避

2020-08-12

2020年4月に民法が改正され、不動産業界にもさまざまな影響がありました。

事前の準備ができていないと、トラブルになる可能性があります。

入居者などとのトラブルを回避するためにも、オーナー(大家さん)、不動産(賃貸)管理会社の皆様は定期的に内容を確認しましょう!!

朝礼で社員の皆さん同士がQ&A形式で確認をするといったことをされている管理会社もあります。

「不動産虎の巻」をお気に入りに登録し、内容をしっかり理解しておきましょう!!宅建受験をされる方は必読です!!

全国の不動産会社の社長さんや経営幹部の皆様と情報交換をさせていただいていますので、「生きた情報」をお伝えできるかと思います。

公務員から転職し、現在、不動産業界15年勤務。賃貸物件2棟所有。宅地建物取引士、不動産鑑定士(短答式試験合格、論文式試験勉強中)、不動産コンサルタント。 これまでの不動産についての豊富な業務知識、経験、人脈をもとに、役立つ記事を書いています。よろしくお願いします!

民法改正のポイント(売買)

2020年4月1日以降の民法を「新民法」、2020年3月31日までの民法を「旧民法」と表現します。

まず、今回の民法改正が不動産売買に与える影響についてです。


新民法では、瑕疵担保責任が契約不適合責任に変わるというところが大きな改正点になります。

契約不適合責任とは、契約内容と異なるものを売却したときに、売主が債務不履行の責任を負うということです。

詳細は、国土交通省が「住宅業界に関連する民法改正の主要ポイント」を取りまとめていますので、ご確認ください。

10ページですのですぐに読めます!

事例があり、マンガ風でコンパクトにまとめられいるので、読みやすいです。

民法改正のポイント(賃貸)

賃貸についての改正点は、まず以下の資料をご覧ください。

■法務省
「賃貸借契約に関する民法のルールが変わります」
「保証に関する民法のルールが大きく変わります」
事例の説明をしているので、読みやすいです。

■国土交通省
「住宅の賃貸借契約に関連する民法改正の概要」
条文について改正のポイントを説明しています。

連帯保証人の保護

改正点のうち、主な点を取り上げます。

まず、連帯保証人の保護についてです。

今回の法改正では、極度額(上限額)の定めのない個人の根保証契約は無効とするというルールが新たに設けられました。
※「根保証契約」とは、将来発生する不特定の債務について保証する契約をいいます。
例えば、不動産の賃借人の一切の債務の保証がこれに当たります。
根保証契約を締結して保証人となる際には、主債務の金額が分からないため、将来、保証人が想定外の債務を負うことになりかねません。

個人(会社等の法人以外の者)が保証人になる根保証契約については、
保証人が支払の責任を負う金額の上限となる「極度額」を定めなければ、保証契約は無効となります。
この極度額は、「○○円」などと明瞭に定め、書面に記載しておかなければなりません。

また、個人が保証人になる根保証契約については
次の事情(元本確定事由)があったときは、その後に発生する主債務は保証の対象外となります。
①債権者が保証人の財産について強制執行や担保権の実行を申し立てたとき
②保証人が破産手続開始の決定を受けたとき
③主債務者又は保証人が死亡したとき

出所:法務省「賃貸借契約に関する民法のルールが変わります」

特に、極度額の定めについては、2018年3月30日に国土交通省住宅総合整備課が取りまとめた「極度額に関する参考資料」が基準になると考えられます。

資料によると、裁判所の判決における連帯保証人の負担額の平均は賃料の13.2カ月分となっています。

このことから、目安として極度額を賃料の24カ月分程度の運用とすることが考えられます。

今回の改正によって、個人保証人が支払う極度額の定めが必要になると保証人になることは敬遠される傾向が強まると予想され、保証会社による保証契約を利用する割合がますます高くなっていくと思われます。

なお、新民法を踏まえ、国土交通省が『賃貸住宅標準契約書』等のひな形(モデル)を提示していますので、ご確認ください。

併せて、「民法改正を受けた賃貸住宅標準契約書Q&A」もご確認ください。

賃借物の一部滅失等による賃料の減額等

新民法では、貸室・設備等の滅失によって、通常の居住ができなくなった場合、賃借人に責任がある場合を除いて、賃料はその滅失部分の割合に応じて当然に減額されることとなりました。

しかし、新民法ではどの程度賃料が減額されるかについて、明確な基準は書かれていません。

そこで、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が減額割合の目安となる「貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」を取りまとめていますので、ご確認ください。

この点は不動産(賃貸)管理会社の方々は内容をよく理解し、入居者とのトラブルを事前に回避するようにしましょう!

■貸室・設備等の不具合(例)

  • 電気が使えない
  • ガスが使えない
  • 水が使えない
  • トイレが使えない
  • 風呂が使えない
  • エアコンが作動しない
  • テレビ等通信設備が使えない
  • 雨漏りによる利用制限
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賃借人の原状回復義務及び収去義務等の明確化

原状回復確認リスト  例
後述「入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト(例)」

賃貸住宅のオーナー(大家さん)にとって、常について回るのが退去時の敷金精算についてのトラブルだと思います。どこまでが入居者負担で、どこまでがオーナーの負担か、長い間ずっと問題となっていました。

その点、新民法により、賃借人の原状回復義務及び収去義務等の明確化がされました。ここではオーナーが原状回復費用として請求してよい部分と、請求できない部分などについて説明していきます。

関東圏では入居時に家賃の1~3ヶ月分の敷金をもらうのが通常です。そして、これまでは国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」や、東京都が定めた「賃貸住宅紛争防止条例」などを参考にして、入居者が損耗した分を敷金から差し引いて、残った金額を退去時に返還していました。

しかし、現実問題としては退去時になにかしらのトラブルが発生し、ひどい時には裁判にまで発展するケースもありました。

そこで、それらのトラブルを解消するために、2020年4月に民法改正が行われました。

賃貸借契約が終了した場合には、賃借人は、賃借物を原状(元の状態)に戻して賃貸人に返還しなければならないと解されています。
また、この原状回復義務の範囲について、一般に、通常損耗(賃借物の通常の使用収益によって生じた損耗)及び経年変化はその対象に含まれていないと解されています。
しかし、これらのルールは改正前の民法の文言上は明確ではありませんでした。

ポイント

改正後の民法では、賃借人は、賃借物を受け取った後に生じた損傷について原状回復義務を負うこと、しかし、通常損耗や経年変化については原状回復義務を負わないことを明記しました。

上記の内容は、これまでの「ガイドライン」等にも記されていたものを明文化したものともいえますが、この明文化により更なる強制力が発生し、退去時にまつわるトラブルは減少するものと考えます。

(賃借人の原状回復義務)
民法第621条 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

①通常損耗・経年変化に当たる例

  • 家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡
  • テレビ、冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ)
  • 地震で破損したガラス
  • 鍵の取替え(破損、鍵紛失のない場合)

②通常損耗・経年変化に当たらない例

  • 引っ越し作業で生じたひっかきキズ
  • 日常の不適切な手入れもしくは用法違反による設備等の毀損
  • タバコのヤニ・臭い
  • 飼育ペットによる柱等のキズ・臭い


①により、これまでは通例的に入居者から徴収していた場合もあると思われる鍵の取替えはオーナーの負担となり、

②により、入居者の不適切な手入れ等による毀損や、タバコ臭については敷金から徴収できることになります。

民法改正はなされましたが、これですべての問題が解決できるほど入居者の心情は簡単ではありません。

法律に多少詳しい人ともなれば、あの手この手で因縁をつけて、敷金の全額返還を迫ってくるケースもあるかと思います。


そのため、原状回復にかかるトラブルを未然防止する方法として、入居者とオーナー双方の物件確認の徹底が重要になります。

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」のページにおいて、WORD版「入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト(例)」が示されていますのでご確認ください。書面に残すと言い訳できませんからね。その他、原状回復に関することがまとめられています。

また、必要に応じて、オーナーは入居者に部屋を貸す前にきれいな状態の部屋を撮影するなどして、証拠を保存しておくことも大切です。


この記事が、入居者、オーナー、管理会社の皆様に少しでもお役に立てれば幸いです。


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